みなさんは、滅菌と消毒の違いを言えるだろうか。
なんとなくは分かるけど、具体的にはちょっと…
という方がほとんどではないだろうか。
安心してください。今回は、それぞれの特徴と使い方について順を追って紹介していく。
滅菌 |
対象物の微生物をすべて殺菌 有芽胞菌も含む |
消毒 |
消毒対象の微生物をヒトに感染させないところまで減らす(消滅)させる 有芽胞菌を完全には排除できない 高水準消毒・中水準消毒・低水準消毒がある |
ちなみに、殺菌は微生物を殺すという定義。上記の滅菌と消毒。どちらも殺菌の方法の一部である。
次に、少し詳細に滅菌法についてまとめていく。
滅菌法
- 物理的滅菌
加熱滅菌
a)高圧蒸気滅菌
高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)を用いて2気圧(2atm)121℃15分が王道である。
金属・ガラス・ゴム・プラスチック(耐熱性)・培地・試薬・磁製など多くの用途に使える
プリオンという異常タンパクによる感染症に対しては条件が異なるため別の機会にまとめる。
b)乾熱滅菌
乾熱滅菌器を用いて180℃15分&160℃45分で行う。エンドトキシンは、250℃60分で不活化される。
c)火炎滅菌
ガスバーナーや電気式白金耳滅菌器を用いて行う。
ガスバーナーでは内炎(500℃)、外炎(1800℃)を使い分けて焼却する
- 非加熱滅菌
a)濾過滅菌
殺菌する方法ではなく、微生物を通さないことが目的。
この方法に含まれるHEPAフィルターは、陰圧・陽圧システムや安全キャビネットで用いられる。
空気感染対策で用いられるN95マスクもここに該当し、0.33μm以上の粒子を95%以上を通さない。
b)放射線滅菌
コ放射線による微生物のDNAを傷害する。コバルト60(60Co)からのγ線を用いる。
c)高周波滅菌
2400~2500MHzの高周波による熱で滅菌を行う。液体に用いる。 - 化学的方法 ※ガス滅菌
a)EOG(酸化エチレンガス)滅菌
殺菌力、浸透力共に強いが、残存ガスが人体に悪影響。残留ガスは除去が必要。
b)過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌
最終生成物は水と酸素であるため毒性はないが、EOGよりも浸透力が乏しい。
下手なイラストと文字が多く続いてしまったが、次に消毒法についてもまとめておきたい。
消毒法
- 熱水消毒
60~100℃で行う。多くの微生物に効果があるが、有芽胞菌には、効果がない。 - 紫外線殺菌
真菌、有芽胞菌には長時間紫外線を浴びせる必要があるが、ゴムやプラスチックの変性につながる。
人体の皮膚や目に障害を与えるため注意が必要。 - 化学的方法
消毒薬を用いる。
消毒薬の分類 | 名称 | 用途・注意 |
高水準 | ・グルタールアルデヒド(グルタラール) ・フタラール ・過酢酸 |
・金属器具 ・非金属器具 ・ヒトへの毒性あり。環境にも使用可。蒸気にも毒性あり ・有芽胞菌に有効 |
中水準 | ・消毒用アルコール ・70%イソプロピルアルコール ・次亜塩素酸ナトリウム ・ポピドンヨード ・クレゾール石鹸 |
・次亜塩素酸ナトリウムは、金属を腐敗させる。排泄物に多く用いられる。ウィルスに対する有効性が高い |
低水準 |
・クロルヘキシジン |
・一般細菌等でも抵抗性を示すものあり緑膿菌やセパシア菌など ・第4級アンモニウム系、両性界面活性剤系は粘膜に使用できる ・両性界面活性剤は抗酸菌に効果あり |
中々に覚えづらく量も多いが時間をかけすぎても良くないため、高・中・低消毒薬に何があったか等は覚えておくくらいで、凌ごう💦
教科書的には、露骨に「粘膜」が太字になっていたため、粘膜に使用できる消毒薬は覚えておこう!!
もうツライ…そんな声が聞こえてきそうなので、気が向いたら表とにらめっこする程度で復習しておこう💦