寄生と共生

臨床微生物学には、細菌・ウィルス・真菌の他にも寄生虫も含まれることを頭に入れておいて欲しい。
実際には一般検査分野や総論で問われるが、二級微生物検査士の試験範囲には含まれてくる。
医動物学として単元が分かれているが、この分野でも、親しみを感じていって欲しい。


学生
学生

寄生虫学なんて出題数も少ないし
他の科目やったほうがいいんじゃない?

そんな声が聞こえてくるが、

その通り!!

しかしながら、勉強していくと他の分野よりも楽しいと感じることがあるかもしれない。
勉強する上で興味を持てると、勉強が捗って楽に点数を稼げるかもしれない。

寄生虫は筆者自身、アニサキス・膣トリコモナス・赤痢アメーバしか実物をみたことがない。

あとは教科書で学んでいたが、
目黒にある「寄生虫博物館」での標本を見たり、説明を読んで強く興味をそそられた。
無料で見学できるので、目黒に行った際には是非お立ち寄りを。

医動物学に関しては、趣味寄りの内容として分かりやすく伝えていけたらと思う。

まずは、寄生に関してまとめていこう。


  宿主  寄生体
住処を提供滞在または永住
寄生

寄生する側とされる側の表である。
これとは別に「共生」という生活史がある。

片利共生相利共生
 宿主は何も不利益なし  宿主・寄生体双方に利益あり
共生

寄生虫は、自分の安息の地を探してさまようが、成虫になるには運命の体(固有宿主)を見つけなくてはならない。

例として、アニサキスが挙げられる。
サバやイワシの生食により虫体がヒトの体内に入るとアニサキスは、胃や腸壁に侵入するが、ヒトは固有宿主ではないためアニサキスは成虫になれない。放っておいてもその間ヒトは辛いがアニサキスも辛い状況には変わりなく、アニサキスは死んでしまう。
そう、サバやイワシの体内にいる時点では幼虫で、イルカ・クジラ・アザラシなどの固有宿主がそれらを食べることにより成虫へと成長し、産卵ができる。

このような生活史が興味深く、もっと先を辿るとサバなどの魚に食べてもらいやすくなるようにオキアミに寄生したりと、単純ではあるが、賢く生きているように感じる。

こんな感じで、ゆる~く。でも国家試験または日常生活に有用?な情報を提供していけたらと思う。
引き続き臨床微生物学の記事もご愛顧お願いしたい。

親しみへの一歩

アニサキスに感染しないために…

魚の生活史に適応するため、塩分に強い醤油や塩では死滅しない。また温度も海中に適応しているためか、2℃くらいまでは生きられるが、それ以上の低温(ー20℃:冷凍庫くらい)だとすぐに死滅する。高温にも弱く、60℃数秒で死滅する。生食が美味しいと経験してしまうと辛い選択だ。第3期幼虫が切断されるくらいまで食材を切るまたは咀嚼することも選択肢としてはあるが、どこまで確立を下げられるかは予想できないし、容易でない…

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