プラスミド

今回は、多くの細菌が染色体以外にもつ遺伝物質であるプラスミドを紹介しよう。

細胞質にある遺伝物質で、染色体と同様の環状の二本鎖DNAで、大きさは染色体よりも小さい。
数は1~数十個と様々。微生物学では、2種類のプラスミドを覚えていって欲しい。

細菌同士で、くっついて遺伝子レベルで濃密な情報交換をする感じ。

  • Fプラスミド
  • Rプラスミド

Fプラスミドを持っている細菌(F+)が持っていないF最近にくっついてFに変える。Fに変わった細菌はまたFの細菌へと伝達していく。

例)毒素を持たなかった菌(F)が毒素産生能がある菌(F+)との接合により、毒素産生能を持つ細菌となる形質転換


Rプラスミドは名前の通り、Registance:耐性

薬剤耐性に関与するプラスミドだ。
薬剤不活化酵素(〇〇〇ーゼ)は、ほとんどがこれによる。

例外として、細菌もプラスミドだけに頼っているわけでなく、自分の染色体でも耐性機序を獲得している。
例)フルオロキノロン耐性大腸菌


番外編

バクテリオファージ

細菌に寄生するウィルスのようなもの。
一度見たら忘れないSF映画に出てきそうな恐ろしいかたちをしている。

こんな

何をするかというと形質導入といって、ファージに感染された細菌から出たファージが他の細菌に侵入し、遺伝子情報の一部を伝達する。伝達する種類も様々で、性状だけでなく鞭毛抗原や、薬剤耐性にも関与する。

大腸菌のO-157が産生するベロ毒素と、赤痢菌が産生する志賀毒素の性質が似ていることから、これもファージによるものと推測されている。

親しみへの一歩・・・

今回の記事では、細菌同士も生きるために助け合って耐性機序などを伝達している。毒素も知識を持っている細菌が、持っていない細菌に毒素の出し方を教えている。

もちろん病原性微生物として治療の対象であるため、ヒトも戦っていかないといけないが、薬剤耐性は、今後もヒトと細菌の追いかけっことなることが予測される。

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