抗細菌薬を覚える上で、細胞壁合成阻害、殺菌的作用の代表的存在。避けては通れない薬剤達だ。
理由としては…
- 臨床現場で多く用いられること
- β-ラクタム薬の感受性結果のパターンが菌によってある程度決まりがあるため、同定菌名と感受性結果が相違ないか確認ができる
- 耐性菌の鑑別で、用いられる(第3世代セフェム系薬剤に耐性だとESBL産生を疑うなど)
種類も多く、
- ペニシリン系
- セフェム系
- セファマイシン系
- オキサセフェム系
- カルバペネム系
- ペネム系
- モノバクタム系
となっている。特に覚えづらいのがセフェム系だ。
セフェム系は、また別の記事で取り上げるが、さらっと耐性菌についても触れておきたい。
ペニシリナーゼ、セファロスポリナーゼ、カルバペネマーゼなど生化学で学ぶ
「基質と酵素」の関係で酵素は基質がないと反応できず、鍵と鍵穴のような関係になっている。
名前の通りペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系を分解する酵素だ。
このような単純な耐性機序なら対策も取りやすいが、
細菌もそんな単純ではなく、β-ラクタム薬は共通の分子構造でβ-ラクタム環という環状構造を持つが、それに対してβ-ラクタマーゼという酵素を出し、薬剤を失活させてしまう。
元素のセリンを持つセリンβ-ラクタマーゼと亜鉛を持つメタロβ-ラクタマーゼがある。
Amberの分類というクラス分けしたβ-ラクタマーゼの分類もあるが、微生物検査技師2級試験で出る範囲であるため、今回は省略させていただきたい。
第3世代セフェム系までも分解するペニシリナーゼを産生する細菌が発見され、それがESBL(基質拡張型β-ラクタマーゼ)だ。ここでの基質とは、β-ラクタム薬のことで、分解できるβ-ラクタム薬の範囲が拡張していることから「基質拡張型」とされている。